夢ならさめないで

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南梨夏、24歳。 入社4年の地味な部類に入るOLだ。 今日は憧れの課長に弁当を作ってきた。 食生活の破綻していそうな彼に栄養のある物を食べて貰いたく悩んで、お握りと豚汁とおかずにした。 ドキドキしなから、責任もって食べて下さいねと手渡す。 今日は祝日で他の人は出勤していなかったので、私服で仕事に来ていた課長と、彼にお弁当を届ける為に来た私の二人だけである。 「本当に作ってくれたのか。 ありがたく戴くか」 お握りの具は鮭とおかかと梅干しの定番。 おかずも肉じゃが、卵焼き、漬物とお婆ちゃんのよう。 彩りに申し訳程度にブロッコリーとミニトマトを添えた。 豚汁は保温フードポットに入っているのでまだ熱い。 「へえ、しっかり食事だな、これは」 「お口に合えば良いんですけど。 茶色ばっかりでスミマセン」 目の前で黙々と食べ始める課長。 クールなお顔は表情が変わらず、旨いのかまずいのか判りませんね。 緊張の一時が過ぎ、言った。 「旨かった。 毎食食べたいな」 「ーーー、お夕飯も私の家に食べにきませんか?」 心臓が口から飛び出そうに高鳴った。 そして、 「良いね。 いっそ、一緒に住まないか」 夢なら覚めないで。
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