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四ヶ月ぶりの日本は冬の気配が濃くなっていた。
「リュウ君!久しぶり」
公式練習で声をかけてきたのは麗奈の妹、
彩香だった。
「おう。
元気か」
「元気だよー。
ねえ、
この後時間あるでしょ?一緒にご飯食べよ」
「あー…悪い。
今日は漣先生と約束してるから」
「えー」
彼女はあからさまに不快そうな顔をした。
恐らく、
漣先生と一緒に麗奈も来ると知っての表情だ。
小さい頃は仲がよかったのを知っているので、
今の二人の状態は正直辛い。
「それよりお前、
大丈夫なのかよ。
今回台に乗れないとファイナル厳しいだろ」
彩香は中国杯のショート一位からフリーのジャンプ抜けで総合四位に沈んだ。
ジュニア女王として臨む最初の大きな大会だったので本人も落ち込んでいるはずだった。
しかし、
彼女は乱暴な口調で言い放った。
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