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強引に麗奈を店から連れ出し、
通りでタクシーを拾う。
「リュウ、
降ろして」
車に無理に押し込み、
彼の家へ向かうが彼女は全身で拒否を示した。
勝手にドアを開けて飛び降りかねないので、
しっかりと手を握る。
「何でだよ。
会いに来てくれないんならこっちから行けよ」
涙が乾いて、
表情がなくなった横顔が薄暗い車内に青白く浮かんでいた。
やがて、
タクシーは大翔さんのマンションに辿り着いた。
降りる時も散々暴れて車を引き返させようとしたが、
無理やり部屋の前まで引っ張って来た。
インターホンを押すと間を置かずに返事があり、
ドアが開いた。
「…琉。
…麗奈…」
彼は少しだけ目を見開いて俺たちを見比べていた。
麗奈は彼と目を合わせようとせずそっぽを向いていた。
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