衝撃

9/15
前へ
/83ページ
次へ
「…おせっかいばっかり」 「バーカ、 俺以外にこんなに心配してくれる友達いないだろ」 自分の分と麗奈が食べそうなチキンのサラダとスープも注文する。 とりあえず食べなければ、 心も身体も消耗する一方だった。 一番大切な友達が、 こんな事ですり減らされるのは耐えられない。 渋々野菜を口に運ぶ麗奈を食べ終わるまで見守り、 その後タクシーで家に送った。 ホテルに戻るとそこそこ遅い時間になっていた。 客室で一息つくとドアがノックされ、 開けるとシエル先生が現れた。 「大丈夫?リュウ」 「麗奈は、 適当に食わせて帰しました。 もう寝てると思います」 「うん…大翔には、 会えた?」 聞かれて、 自分の事のように胸が痛んだ。 「…女が一緒でした」 「えっ?」 「仕事のパートナー、 なんて言ってたけど…」 受け取った名刺をポケットから取り出し、 先生に見せた。 「ライターだそうです」 だが、 子供の自分から見てもあの女は普通じゃない空気感を出していた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加