刹那

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男の人は何で、 こんなに野球が好きなんだろう。 ヒロト君が仕事で結果を出すのは素敵だけど、 私を忘れられては困る。 「あの…先生」 「ん?もうこんな時間か、 帰るぞ黒田」 漣先生は自分の用が済むとさっさと立ち上がり、 命令した。 「ええっ」 まだヒロト君とまともに話をしてないのに。 先生が帰ってからゆっくり甘えようと思ってたのに。 「明日も学校があるだろ。 家に送ってやる」 「悪いな、 麗奈。 時差ボケが酷くてちょっと眠いんだ」 そう言われたら、 しつこく居座る訳に行かない。 「…わかった」 「また連絡する」 私がつまらなそうな顔をしたせいか玄関で見送ってくれる時、 先生が背中を向けると素早くおでこにキスしてくれた。
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