刹那

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***** 「お前たち、まるで光源氏と紫の上だな。 子供の頃から懐かせて、大きくなったら嫁にして」 俺が軽口を叩くと奴の顔色が少し変わった。 「俺が?」 「そうだろ。 世間じゃこういうの男の夢なんだろう」 「冗談じゃない」 大翔は吐き捨てた。 「源氏って奴はな。 十にもならない若紫を拐かしてきて親切ごかしに面倒を見て、 大人になった相手が油断したところで無理矢理自分のものにした。 彼女の意志はないに等しい」 奴は更に言った。 「そんな経緯で妻にしておいて後からも女を作っている。 あんな屑野郎と一緒にするな」 余りにも源氏を罵るので少し可笑しくなったが、 生真面目なこの男らしいなと思った。 *****
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