刹那

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それから一週間くらい、 私とヒロト君は会えなかった。 グランプリ日本大会まで少し日にちがあったので余裕を持った練習日程を組んでいたのだが、 彼が例の取材を本にする作業に忙しい。 それでも、 どうしても会いたくてマンションの前まで来た。 ちょっと覗いて、 ダメならすぐに帰ろうと思った。 でもエレベーターを出て彼の家に向かったところで私は物陰に隠れてしまった。 ヒロト君の部屋から女の人が出てきたから。 髪が長い、 あまり背の高くない人で顔はよく見えない。 あまりにも驚いて、 その日は彼に会わずに逃げ帰ってしまったがよく考えてみたら服装はスーツだったしもしかして編集者さんだったんじゃないか?と思い始め、 本人にちゃんと聞かなかった事を後悔した。
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