脇役と主人公

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脇役と主人公

突然ですまない。 物語には大きく分けて、二つの配役がある。 それは、『脇役』と『主人公』である。 多くの人は、主人公の方に注目が行くだろう。 だが、この物語は脇役でありながら主人公並の活躍をしてしまう、一人の少年の物語である。 「あーー!くっそーー!」 1人の少年が叫んでいる。 「なんだ?どうしたんだよ、いきなり」 呆れながら少年に理由を尋ねる友人。 「また負けたんだよ!あいつに!」 悔しそうに友人に理由を説明した。 「はぁ、また?いい加減諦めたらいいのに」 もう何度目だと言いたげな目を少年に向けながらそう言う、友人。 「何が違うんだよ!俺とあいつのなにが!!」 「はぁ、何もかもが違うでしょうが」 「何がだよ..」 「まず、外見が目立つけどお前は地味」 「それがなんだ、それくらいいくらでも..」 「次に、性格だね。お前が口だけの捻くれ者に対して、あっちは周りに目を配り、努力家。」 「うぐっ..」 「ほらね?全然違うでしょ、まだ聞きたい?」 「いや、もう、けっこうです..」 少年はここまで友人に言われて、自分じゃそれにはなれないと気づいた。いや、気付かされた。 「ま、でも、お前にもいいとこはあるって」 半ば無理やりだが少年に励ましの言葉をかける友人であった。 「なに?またなんかあったの?」 少年が黙り込んでいるのを不思議がったのか、思わず声をかけてしまった友人。 「あ、あぁ分かったんだよ」 「わかったって、何が?」 「俺はあいつみたいにはなれない」 「そりゃ、そうだよ」 「でも、同等にはなれる筈だ」 「はぁ?それのどこがわかったって言うのさ」 「いや、一番にならなくていいんだ!」 「どういう..」 「主人公のように目立たなくても、いいんだ!」 「で?何になるのさ」 「それは.....」 少年は、友人に目指すのを伝えるとどこかへ走って行ってしまった。 「はぁ、まさかあんなこと言うとはね..」 友人は少年の行った方を満足したような顔で眺めたいた。 「脇役になる、か..」 そう呟いて友人もその場を後にした。 少年は心に誓った。 常に目立つ主人公ではなく、その他の一人である脇役でいいと。 脇役でもただの脇役じゃない。 『主人公を超える脇役』になればいい。 少年がそれを実現するのはそう遠くないだろう。 その少年の誓いが、様々なことに繋がることはまだ誰も予想していなかった..
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