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「和田の弁当っていつも美味そうだよな」
昼休み。教室で元野球部仲間と机を寄せて昼食を囲んでいると、友人のひとりからそんなことを言われた。
「そうか?」
一同の視線が悠介の何の変哲もない弁当箱に注がれる。本日のメニューは蓮根のきんぴらに豚の梅しそ巻き、煮卵が二切れと大学いも。ごみが出るのが嫌なので仕切りの代わりにサニーレタスを挟み、それが彩りにもなっている。朝五時に起きて、家族の朝食とともに悠介自身が用意したものだ。
「大学いも一個くれよ」
「じゃあお前のシュウマイ寄越せ」
隣に座っていた友人とおかずを一品ずつトレードしていると他の連中が俺も俺もと寄ってくるので、結局悠介自身の口にはひとつしか入らない。その分おかずの品数が増えるので特に不満はない。悠介にしたら特に自分の料理の腕が優れているとも思わない。だが大学いもを丸ごと頬張った友人らが大袈裟に「うめえ!」と体を震わせるのを見れば、やはり嬉しい。それに少し笑ってゆかりご飯を一口頬張る。ちょっと米が硬すぎたかもしれない。
「悠介が作ってるんだろ、これ。すげえよな、お前は料理人か嫁さんになるべきだよ」
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