序章 唐突だが猫になったのだ

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序章 唐突だが猫になったのだ

私は猫である。 名前はまだ、知るかあああああああああああっ! おそらく、日本で一番有名なあの小説の書き出しがあって、そのパクリも山のようにあると思うけど、これもそんな感じで申し訳ない。しかし、捻る余裕は今はない。とにかく、その状況に戸惑っていた。 私、神咲ちなみ。ついさっきまでごく普通の女子高生だった。と、これもまたありきたりの自己紹介をしたいところだけど、世の中に一人として「ごく普通の女子高生」なんていない。世界中の全ての女子高生にはそれぞれ「諸般の事情」がある。 まあ、それもおいおい説明するとして。 とにかく自分の身体を見回してみる。これは猫だ。誰がどう見ても猫だ。知らない家の中で、女子高生が素っ裸で猫になっている。いや、猫だから素っ裸なのは仕方ないとして。 ここ、どこ? 誰の家? 畳の部屋、木の廊下、古びたタンス。こういう家って、子供の頃見ていたサザエさんとかドラえもんの家みたいな、いかにも昭和という雰囲気を彷彿とさせる。そうすると私はタマか?タマなのか? それにしては真っ白ではねーぞ、おい。白地にベージュに近い薄茶色の模様。猫の種類には詳しくないけど、普通に考えて雑種だな。     
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