1人が本棚に入れています
本棚に追加
沈黙の時間。
チラッと隣を見るが、女の子はまっすぐ前を見て微動だにしない。
そうしている姿はまるで人形のようだ。
それがかえって不自然で、運転手に疑われないだろうか。
そんな不安に駆られた陽一は戸惑いながらも女の子に話しかけた。
「あのさ……婆ちゃんとは知り合い?」
「え?何ですか?」
女の子に語りかけた陽一に、運転手が聞き返してきた。
陽一は、ハッとして視線を運転手の方へ向けた。
もしかしたら、運転手には見えていないのかもしれない……
「あ、いえ。何でもないです。少し考え事をしていて」
「そうですか」
運転手はそれきりまた黙って運転を続けた。
女の子は変わらない無表情で、ジッと前を見つめていた。
*
最初のコメントを投稿しよう!