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「あの! 安藤先輩に連絡してあげてくれませんかっ?」 「……は?」 「たぶん、安藤先輩は寺尾先輩に連絡してないんですよね? でも、それは寺尾先輩のせいでも安藤先輩のせいでもなくて……オレのせいなんです」 「どういうことだよ」 「安藤先輩、男と付き合うのはじめてだから……どうすればいいかよくわからないみたいなんです。だから、オレに変に気を遣ってて……」  古瀬は周りに聞こえないくらい小さな声で静かに訴えてくる。 「なんで安藤はおまえに気を遣う必要があるんだよ」 「……っ。それは、付き合ってるから、で……」  顔を赤らめて言う古瀬にモヤモヤする。これ以上、この男の口から安藤のことを聞きたくなかった。 「自分が寺尾先輩と仲良くしてたら、オレが嫉妬するんじゃないかって……そう思ってるみたいなんです」  古瀬の言いたいことがようやくわかり、雄馬はため息をつく。  そういうことか……。まったく。遠回しな言い方なんてしないでほしい。イライラしてしょうがない。片足を小刻みに揺らしながら、雄馬は頭をボリボリと掻いた。 「でもっ……オレはそんなこと思わないし、寂しそうな安藤先輩を見てるほうが辛いからっ」  え、と思った。寂しそう? 安藤が? 自分と話せない……から?  その言葉を聞いた途端、縮こまった心が広がった。これを人は余裕と呼ぶのかもしれない。雄馬は自分の単純さに苦笑いしつつも、態度が急速に変わるのを止めることが出来なかった。 「なんだよ。あいつ寂しがってんのか? ダッセーなー」 「……」  雄馬の態度の変化に少し驚いた顔を見せた後、古瀬は下を向いた。 「寺尾先輩は、その、安藤先輩のことを……」 「え?」
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