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「くそ……」  雄馬は前の彼女の言っていたことを思い出した。その彼女は女には友達同士の間にも嫉妬があると言っていた。自分の仲の良い友達が、他の友達と仲良くしているのを見ると嫉妬するらしいのだ。  もちろん皆が皆、そういう訳ではないらしいが、中には尋常ではないくらいに嫉妬してくる女友達がいるのだという。  自分はそれを聞いた時は「その子はレズなんじゃないの?」と笑った。  そういった嫉妬は、男同士の友達間にもあるのだろうか。もしあるのだとしたら、古瀬に対するこの気持ちは嫉妬なのだろうか……。  一人悶々と考えるが、解決できないまま二人のもとへ戻る。  雄馬が戻ると、安藤と古瀬は大学の教授や授業、実習の話をしていた。  しかし、雄馬だけ違う学部なので話の内容がわからない。当然話についていけるはずもなく、ただその場で黙っているしかなかった。  話に参加することもできず、聞くふりをして相づちを打つことも苦手なので、一人黙々と食べる。  その間も、安藤と古瀬は雄馬にはわからない話をしていた。まるで二人きりの世界である。たまに笑ったり、怒ったり、真面目な顔をしたりーー。いつも自分だけにしか見せていないその顔が、今は古瀬だけのものだ。  こんなことを考えてしまうなんて、いい加減自分が古瀬に嫉妬していることを認めるしかなかった。  縛られた足元が、ズブズブと沼に沈んでいく感覚。気分が転がり落ちていくーー。  夕食を食べ終え、ファミレスを出て三人で歩く。といっても、二人並ぶ安藤と古瀬の後ろから雄馬がとぼとぼとついていくというものだから、三人で歩いているというのは、少し違うかもしれない。  結局雄馬は、一言二言しか会話に参加することができなかった。自分なりに頑張ったけれど、無理して会話に入ろうとするのは本来苦手なのだ。どうしてもうまくいかなかった。  鈍感な安藤は、うしろを振り向いて訊いてくる。 「寺尾はこのあとどうする? 俺らはウチに行くけど」 「オレはいいや」  即答だった。さっさとこの場から離れたかった。
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