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最後の標的No.5鷺田 The last revenge opponent
……長かった積年の恨みが、
あっという間に終わっていく……
私はもう…、四人も殺した。
一人目 集団いじめをしてきた筆頭格の男・若地ロイ
二人目 その連れ合いの仲間の男・丹波由二
三人目 嘘吐き更生不可能、凄惨な裏切りをした女・鐘本茅野
四人目 鐘本と一緒になって私を罵倒し陥れた女・小町未遊
……もう
あとには戻れない……
殺人鬼だ……
最後、五人目の男は犯罪者・鷺田
この男こそ本当の屑であり、この世の中に存在してはいけない。
逮捕されても、懲りずに何度も同じ行為をして、被害者を泣き寝入りさせてきた…。
こいつだけは生かしてはおけない。
……だけれども、いざ、この男の事を考えると嫌な記憶が思い起こさせて震える…、
吐いてしまう……。
こんなんじゃあ復讐なんて出来ないよ……
…そう思っていたら、
彼が、ソウマくんが話しかけてきた。
「君の最後の復讐相手と君の事情は知っている。…君には むりだよ…。今だってもう既に泣きそうに震えている…。…大丈夫。俺が片づけて来るから、君は安全な場所にでも隠れていて」
普段は無口な彼が唐突に喋り、慰めてくれた……。
落ち着かせようとしてくれているのか、私の震える肩を抱いて泣き顔を隠して抱きしめてくれた…。
そこには彼なりの、不器用な優しさがあった…。
「最後の復讐相手の男の情報はもう頭に入ってる。【この男だけは赦せない】という君の気持ちに応えて一息じゃあ殺さない。じわじわと痛めつけて殺してくるね」
その一言を最後にソウマくんは出て行った。
その間、私は身辺調査会社に身柄を保護される事になったらしい。
その手配もソウマくんがしてくれたと社員さんから聞いた。
ソウマくんの事は謎が多すぎて、社員さんにそっと訊いてみた。
しかし、企業秘密&元々、ソウマくんの出生を知っている人は居ないそうだ。
秘密主義、なのかな……?
一人で出かけたソウマくんが心配だったけれど…、社員さんに訊くと
皆、口を揃えて「ソウマなら大丈夫」と言う…。
ソウマくんの鮮やかな手口……、スパイ?暗殺者?軍人?なのかなぁ…、と
考えては消えゆく取り留めの無い想像をしながら 彼の帰還を待った
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