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「…どう?私の受けた【痛み】、解ってきた?」
「…っハァ…ハァ…って、テメェの、痛、みなん、ざ…わかんねー…よ…。わかるの、はっ、…テメェ…、がっ!キチガイ、って…事…だけだ…っ!」
小町の呻き声と怒声が、誰も居ない廃屋に虚しく響き渡った。
私はまた軽く 嘆息をした。今度は前回より少しだけ長めに…。
そして至極笑顔で答える。
「…全く同じ事を言われたよ」
「…テメェ…っ…、ハァ…、…他、にも…っ、やった…って、のか…っ!?」
気の強い小町にしては珍しく少し怯えた表情をしていた。
それが、私には…とても愉快に思えて…。
「殺ったよ。復讐殺人」
淡々と答える私の心に最早 感情は無かったかもしれない…。
……と、
ふと廃屋の扉の方を振り向くと、光が差して…
「あ!待ってた、真打登場っ!」
私は謎の高揚感で声が弾んでいた。
鐘本がやって来た。
「やっほー鐘本、久しぶり~!覚えてる?私の事?覚えて無いカナ~(笑)…だって、【お互い】覚えていたく無いもんネ~!!顔を見るだけで吐気がする…」
声色は明るく話し方も馴れ馴れしい…が、心根は笑っておらず心底憎悪感がひた走る。
「…どうして橿原がここに…? !未遊に何したのっ!?」
鐘本も嫌悪感を隠さずに言い、傷だらけの小町の姿を見て驚愕し喚く様に叫ぶ。
「…ナニって、復讐。小町が此処に居るのもアンタが小町と二人で私を罵倒して傷つけたからじゃん!アンタが私にした事…、忘れた訳じゃないよね。…もしかして、本当に忘れちゃった?」
早口でどんどん責句を告げる哀歌だが…当の本人は如何せん朧気な様子…。
その姿を見て
暫しの間・沈黙…。逆にこちらが呆気に取られ、茫然自失としてしまった。
ぱたっと 涙が床に落ちた。
そして、
私の恨み・怒り・悔しさ・悲しみ…と言った負の感情が爆発した。
「っ!!殺してやる…っ、殺してやる…っ!」
大声で叫びながら用意していた刃物を振り回す哀歌の姿は狂気に狂った悪鬼・殺人鬼 そのものだった。
「アンタがぁ…っ!!アンタの所為で…っ!こっちはどんだけ苦労したと思ってんの!?人間不信になるわ鬱になるわ…、お前の存在ソノモノが迷惑なんだよッ!死ねッ、屑っ!」
ナイフが鐘本の肩や足をかすめる。
二人の様子に小町も驚いて声を出せずにいた。
「本当は惨たらしく少~しずつ殺そうと思ったけどやめたわ」
哀歌の瞳からスー…っと色が消えた
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