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夜が明けて一日後、
ソウマくんは無事、帰って来た。
けれども服装は随分と血染められていた…。
オマケに何やら不振な大きな包みを持っている……。
……これは 果てしなく嫌な予感がした。
こういう時の予感は良く当たるものだ…。
「はい、証拠」
と一言言って彼が差し出してきた謎の大きな包み……。
持ってみると ずっしりと重い…。
嫌な予感はきっと当たる、私は確信した…。
【此れ】は武将が【首級(みしるし)】と言っていたモノに違いない……。
嫌な予感に冷や汗がだらだらと垂れてきたが折角彼が持って来てくれたモノだ、
見ない訳にはいかない…。
伏せ目がちにそっと包みを開けてみると やっぱり生首!!!
一瞬くら~…っと眩暈がし、倒れそうになったのを社員さんが支えてくれた。
ソウマくんが申し訳無さそうにぽそりと呟く。
「仕事は完璧に遂げた。男の腕を、足を、折り…、動けなくしながら練炭を焚いて一酸化中毒で段々と弱らせ、色々な箇所を刺して出血させ、意識を朦朧とさせた。水責めなんかもしてみたり…、ありとあらゆる拷問的な方法をしてきた。……けれど、とても残念な事に哀歌ちゃんの知り合いの鐘本と同じで この男には罪の意識が全く無かった…。脅迫してみても 無駄で……。だから最期は斬首刑にして、家を丸ごと燃やしました。…君の期待に添えなくてごめんね……。気持ち悪いけど、この首は一応、証拠品という事で」
申し訳無さそうに項垂れるソウマくん…。
逆に私が申し訳無くなった……。
殺害の幇助をするだけでは無くて、直接 手を下してしまったのだからーー……。
……それも 私の所為で……。
彼は私の気持ちを察したのか(大丈夫だよ)と言わんばかりに優しく微笑んだ。
頭をぽんぽんしないのは 今、自分が血濡れているからである。
彼は 何処までも優しかった…。
その時の彼の笑顔は私は生涯 忘れはしない……
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