本当の最後の標的The last target of truth 私の憧れ

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……と、 社長さんは困惑して少し声を荒げて言った。 「哀歌ちゃんっ!?貴女、何を言っているの…っ?」 私は淡々と答える。 「言葉のままの意味ですよ。私は警察に自首をします」 社長は矢継ぎ早に返す 「…うち(身辺調査会社)はね…、本当は犯罪被害者のシェルターも担っているの…。…だから被害に遭われた方が復讐を望むのならば、こうして社員に協力もさせてきた…。本当は身辺調査会社なんてのはね、表の顔。本当は便利屋・御用聞きであり、人には言えない仕事だってしてきた…。今回の件でよく解ったでしょう?」 「…はい。途中から…」 「だから貴方の少ない余生をシェルターで守ってあげる事なんて簡単なのよ?早まらないで…、哀歌ちゃん。折角、憎い相手達に復讐を遂げてすっきりしたんじゃない。…なら、残り少ない寿命をこの先、人生楽しむ事に使ってもバチなんか当たらないわよ…」 「……社長さん、お心遣い、痛み入ります。……でも、もう駄目、ですよ……。警察も馬鹿じゃあ無い。立て続けに起きた同年代の殺人事件、殺害方法は卑劣で、怨恨殺人だと直ぐにバレます。そうしたら、被害者自身や、被害者に関係する人物を調べ上げるでしょう…。そうしたら、直ぐに私だってバレちゃいますよ」 …軽く 苦笑いを浮かべる哀歌。 「…そうしたら、この会社にも迷惑がかかってしまうかもしれない……。そんな事、嫌なんです……。…それに、復讐殺人とは言え、私は最早、唯の殺人鬼です。【殺したい程、憎んでいたアイツ等と同じ…、犯罪者まで堕ちてしまった】んです……っ!!そんな自分が裁かれないなんて、私は、自分自身の事が赦せなくなってしまう……っ…」 話している内に、段々と涙声になっていく哀歌の姿を見て… 社長は ……ふぅ…、と嘆息をした。 「……哀歌ちゃん。貴女の考えは良く解ったわ…。うちの会社は依頼者の意見を第一に尊重する。喩え其れが…依頼者に良くない事を齎すとしても……。【依頼者の願い】を叶えるのが第一だから……。本当は 名残惜しいけれど、貴女がそう、望むのならば、行ってらっしゃいな」 肩を抱きながら優しく諭す様に伝える社長。
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