本当の最後の標的The last target of truth 私の憧れ

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そんな彼が 私を心配して追いかけて来てくれた…。 こんなに嬉しい事は無い…。 彼の、ソウマくんの気持ちは 一体 何? 私より少し年上みたいだから、お兄さん的な・家族的な?心配? 依頼者だから? それとも……、 恋心…? 恋だといいなぁ…、なんて、勝手に一人で舞い上がってしまった。 私は、もう、恋なんて出来る身分では無いというのに……。 そんな自分の淡い期待を壊す様に、敢えて冷たく・声を出来るだけ低くして言うー…、 「ソウマくん、依頼はもう遂行したのだから…パートナーは解消された筈だよね…?貴方はもう…、私になんて構わなくていいんだよ」 …そう。ソウマくんの過去なんて私には一切解らない。…だから、彼が危ない事に手を染めてきたのか・一般人なのか、私には解らない。 …けれど、これだけは解る。 【私が、私の所為で…、ソウマくんを巻き込んでしまった事。余計な十字架を背負わせてしまった事……】 …だから また 突き放す 「ソウマくん、貴方は逃げて…、逃げ切って…。私は復讐と言えども自分の事が信じられない・嫌いになるくらい、非道な事をした…。此れは償わなくてはいけないの。私をまだ…パートナーだと認めてくれるのならば、これが【最期のお願い】。貴方は【逃げ切って…】。貴方の様な人を必要としている人がこれからもきっと 居る筈だから…」 そう言い切って彼を振り切ろうとした時ーー…  彼から、ソウマくんから不意に抱きしめられた…。 そして 彼はぽつり、ぽつりと語り出す。 「…突然、こんな事を言っても、信じて貰えないと思うから、聞き流してほしい。最初に君と出逢って、君の事情を知った時の君に対しての感情は同情心だけだった。可哀想に、って…。それで君のパートナーが俺に決まって対象を次々と殺していった。…その時に、俺は見てしまったんだ。殺したい程に憎い相手なのに…いざ、その相手を殺したとなると、君は切なそうな・悲しそうな表情を浮かべていた…。これは俺の勝手な憶測だけど…、そんな相手にまで憎しみ以外の何か、別の気持ちを抱いていたのか、と…。それを見て、憎しみだけに支配されず、この子は、なんて綺麗な心の持ち主なのかと思い…、そこから段々と君に惹かれていく様になった…。こんな事を話しても信じてくれないよな…出逢ってからほんの僅かだし…」 その言葉には彼のぶっきらぼうな優しさが含まれていた…
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