1人が本棚に入れています
本棚に追加
標的No.2丹波 由二
まずは一人目を殺した。
…始めは復讐をした事で気持ちは晴れ、すっきりするかと思っていたんだ。
しかし、殺してみればなんだ、此の、もやもやとした鬱屈する気持ちの正体は?
これでは思っていたモノと違う…。
…けれども、もう、後戻りなんて 出来やしないのだから……
私は前に進むのみ。
次に二人目だ。
こいつは一番最初に殺した男の仲間。
そいつとつるんで一緒になって私をいじめてきた輩だ。
…さて、こいつはどう殺してやろうか?
私は諮詢した。
…と、ここで協力者の紹介。
私の復讐に協力してくれている人は「ソウマ」と言う男の子。
身辺調査会社の社員である。
私が委託した身辺調査会社はボディーガードも兼業しているからそのついでである。
私達の繋がりは 【唯のお金の関係・契約者】 それだけ。
だのにソウマくんは私の復讐犯罪の片棒を担いでくれている。
身辺調査会社だから一般の会社とは勿論異なるが、悪に手を染めている訳では決して無い。
…というのに、状況を話したら一緒に手伝って貰える事になった。
小柄の女の私一人では多分…到底どうにもならなかったから、有り難い提案ではある。
実際、彼は賢く、様々な分野の技術を得ているので計画は潤滑に行えた。
…しかし、私の復讐殺人等という私怨に一般人を巻き込んで良いのだろうか?
否、良い筈が無い。
それを伝えると彼は
「大丈夫」
…と一言だけ言って私を安心させる様に頭をぽん、と軽く撫でるのだった。
その手が何とも心地良く、私はひとたびの安堵を得る。
彼と一緒に二人目の殺し方を私は考えた。
「よし、そうだ、今度は自分から自殺させてやろう」
男には家族が有った。
観察していると 過去の事等、何も無かった様に幸せに暮らしている。
それを見て、私の心に灯が灯る。
復讐の仄暗い炎が……。
最初のコメントを投稿しよう!