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ソウマくんと協力して男の妻を呼び出した。
そして私は公衆電話を使って男に話す。
「……ねぇ、私、【橿原哀歌】。…覚えてる?覚えてる訳無いよねー、いじめた奴の事なんか。立派なご身分ねぇ。過去はさっぱり忘れて可愛い奥さんと幸せな家庭を築いているんだ?」
「……!?お、お、お前……っ、橿原っ!?どうして今更!?どうやって居所が解った!?一体、何の用だっ!!」
男は酷く狼狽していた様だった。…と同時に怒りを孕んだ口調。
その様子が酷く滑稽に映って……
私は思いっきりの悪女を演じる事にした。
これが所謂 嗜虐心というモノだろうか…?
「今のご時世、【とある場所】に頼めば簡単に出てくるわよ。…あぁ、もう少しで貴方の家に手紙が届くと思うから、見てみて?面白いモノが入ってるから…。……若地ロイ、くん?だっけ?昔、貴方達仲良かったでしょ?今でも連絡取り合ってるの?」
少し早口で一方的に捲し立てる。
「…あ、あいつとは…っ!もう、そんなんじゃ…っ」
男が言いかけて
ピンポーン とチャイムが鳴る。
「……チッ…!!」
男は舌打ちをしながら配達に来た郵便局員から手紙を受け取り、
中を見て…… 絶句した。
「……っ!!なんだよっっ!!?コレ!?」
私は…ふぅ…と嘆息した。
「ナニって、見たままじゃない。アナタのトモダチの若地クンの死体よ」
…殺した相手の姿を写真におさめるなんて、自分でも相当趣味が悪いと思っているし嫌悪で虫唾が走るがこれ位しないとこいつ等は脅迫に屈しない。
焦りと恐怖感が男の声から伝わってくる。
「こっ、コレっ!!悪戯なんだろっ!?昔お前をいじめた俺達への仕返しかっ!?合成なんだよな……っ…?」
男は泣きそうになる上擦った声で懇願する様に問うた。
「漸く私の気持ちが解ってくれた…?このままだと貴方の可愛い奥さんも同じ目に遭うけど…」
努めて冷酷に・非常に、声色を消して淡々と言い放つ。
「貴方の選択次第だけどね…?」
悪魔が囁く様に救いの手を差し伸べるフリをして。
…私はもう、きっと、悪魔になってしまったのかもしれない…。
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