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確か僕が店に入った時、
このあたりの席は客も店員も楽し気に騒いでいた。
それも、初めまして~とか自己紹介的な感じではなくて、
いつもの仲間みたいに、ごく自然な感じで…。
「俺どこ行ってもそんな感じだから。
初対面の人でもフツーに仲良くなれるし」
「……」
…それは羨ましいことで。
「それに多分、歳も同じくらいだし」
「なんでわかる?」
「ほれ」
彼は僕の開いていたノンアルコールメニューに被せて、
自分の飲んでいるグラスを見せてきた。
…純度100%の見事なオレンジだこと。
「未成年でここに居るってことは、18か19だろ?
俺19」
「…同じだ」
「んねっ?」
「………」
……何なんだろう、この人は…?
――さっきから…キラキラ、キラキラ、して。
「……
…あ」
「ん? なに?」
「じゃあ、さっき言った『俺と一緒に飲もうよ』って、
オレンジジュースをってこと?」
「…ぶはっ! そんなコト!?
で今頃っ!?」
「…?」
彼が、笑っている。
今度は目と目が合っているわけでもないのに、
…なぜだろう? また僕は、瞬きの仕方を忘れたようにそこから目が離せなくなる。
……何なんだろう……この、気持ちは?
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