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夏来と出会って、色んな事が少しずつ変わり始めている。
まず、人の目を見て話すようになった。
夏来の瞳に魅了されて以来、他人の瞳を見ることに興味を覚えたのだ。
あんなに綺麗なのは他に見つけられる気がしないけれど、
ちゃんと見てみると、人間の目というものは皆なかなかに綺麗なものだった。
そんなことをしているうちに、
いつの間にか他人との会話がそれまでよりも自然になってきたようだった。
それから、苦手だった季節が好きになった。
僕は夏が嫌いだったけれど、
この眩しい季節があまりによく似合う夏来を見ていたら、
…なんだか、この夏が彼を僕のところへ運んできてくれたような気がして。
無駄に明るいばかりで煩わしいと思っていた季節は、
たったこれだけの間で、僕にとって一番愛おしい季節へと変わってしまった。
こんな調子で、
本当に夏来という奴は、毎日僕に確実な変化をもたらしてくる。
そして今日は――
「ひゃ~、涼しー!
やぁっと生き返ったぜ。ほら、入れてよかったろ!? なっ!」
――クーラーが入った。
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