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意外と重いドアを開けてまず目に飛び込んできたのは、
カウンターの頭上から逆さにぶら下がって並んでいるカクテルグラスだった。
続いて、中身にどんな違いがあるのかは僕などにはまるでわからない、
そこかしこにひしめいている無数のボトルたち。
そして耳に飛び込んで来たのは、
大音量というには些か控えめなボリュームで流れるモダンなジャズミュージック。
初めて足を踏み入れた店内は、
予想に反して…と言ったら本当は失礼なのだけれど、
お酒や内装にこだわっている、
ベーシックなショットバーと同じようにしか見えないお洒落な空間だった。
「………」
「こんにちは」
「………
……どうも」
「この店初めて?」
「……はい…」
店員さんも、いかにも普通の人だ。
もっと、こう…テンションが高くて、オネェ言葉なんか使ってきたりするのかなって、
…そんな風に思っていたんだけれど。
やっぱり僕は、偏見が強いのかもしれない。
頭が固いとよく言われるのは、そういうところから来ているのだろうか…。
「あっちの方に初めてっぽい人たち集まってるよ~」
「本当ですか?
行ってみます。ありがとうございます」
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