オルター・洋子「龍平洋漂流記」より 第6章 水底の天使たち

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 席を立ち、階段を降りながら考えた。 潤んだ目を不思議に輝かせて「自分は変われない」と訴えた。 あれは、なんというか…松田龍平が言ってるみたいに聞こえたから私はひどくウロタエタんだ。その龍平の後ろで、「私に未来など有りますか?」と惣三郎が言っているし、 その横で「変わらなくちゃ生き残れない」と「ダイドーブレンド」の龍平が言っている。 …あ、これ、リュウヘイ・マトリューシュカ。 「御法度」観たら入るスイッチが入ってる。  さて、松田龍平は求められたことに応えるという意味では、もう職人技というようなお芝居でしょう。宮腰一郎が適役だったのは誰でもわかる。 でも、私は、月末役を松田がやった方が良かったんじゃないかな、と思う。 松田龍平は「普通の範疇の男」をやった時に独特の「妙味」が際立つ。 反対に、普通人オーラの色男・錦戸が宮腰をやっても悪くないんじゃない? 想像してみて?それなりに面白いと思わない?あ、ジャニーズ事務所があの役NGなのかな?  つまり、私が言いたいのは 松田龍平を「人外」みたいに扱うの、もうやめて頂きたい。 みんな好きみたいだけど、ご本人も気に入りなのかもだけど、これじゃ「怪優」じゃない。 次やるのが「鳥居」や「テトラポッド」だったらどうしよう…きっとやりきる。 演技派なのはもうわかった。 でも演技派ってそんなに偉いことなの? 死ぬまでお姫様女優だって、相当偉いんじゃない?  さて、その他のキャストでは 木村文乃という女優さん、この映画で初めて知った。泣いた顔のコケシみたいな美人。 役どころは全く共感できなかった。 自分が未熟だったうえ愚かだっただけでしょ? なのになんでそんなに不機嫌なの?若いって大変だよね、というくらいな感じである。
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