第一章

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「十八で高校三年になるわ」 「じゃ次の春に卒業するのか」  躰の線は崩れていない。あれから子供は産んでいないのか? 正幸がそれで納得しているのだろうか? 此の疑問に今一度、佐恵子の瞳を見直した。  彼女は、此のひとは何を考えているのだろうと云う目をしていた。  これは恋人時代からそうだった。悪意はないのは分かり切っていた。だがなんだか自分が尊敬に値しない人に取られて不愉快だった。今も朔郎は佐恵子のその瞳に押されぱなっしだ。彼はその瞳に向かって切り返した。 「正幸とは上手くいってるのか?」 「え、え」   彼女はちょっと言葉を詰まらせてから。 「上手くいってるわよ」  それがどうしたと 彼女は押し返した。 「正幸か・・・。あいつは卑怯だ!」 「貴方にそんな事を言う資格はないわよ」 「さあ、どうだろうねぇ」 「どう云う事なのよ」 「まあいい。あいつはあいつで苦しんでいるだろうなあ」  一瞬、彼女の顔がこわばった。 「まだそんなこと言ってるの。もう何しに来たのか分からなくなってくるでしょう。あなたがそんなに執念深い人とは思わなかったわ」  次に彼女は呆れたように作り笑いを浮かべた。佐恵子は表面では笑っていても瞳は動揺していた。 「本当に何しに来たんだ」     
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