続第三話 遠い約束

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「…いいよ。ケンちゃんとまた話せて嬉しかった。ふぇんちゃんにも逢えた。約束も守った。想い残したことは無くなった。僕はもう行かないけんから行くよ? ケンちゃん。もしまた逢えたら、また友達になってね? 楽しかったよ?ありがとう。幸せだった。」 「ヤス? ありがとな! またな!」 それを聞いてから 白い塊はふんわりと天井に浮かんで、蒼白く光って、消えた。 それから兄貴とふたりで、笑いながら朝まで泣いた。 ビールグラスを3つ出して、朝までずっと。 翌日俺はフェリーで広島に帰った。 帰りしな、弁天埠頭まで送ってくれた兄貴から、ヤスくんちへ渡してくれと線香代を受け取った。 俺は確かにと、受け取ってフェリーに乗り込んだ。 デッキに上がり、下で見送る兄貴に聞いてみた。 「約束。結局なんやったん?」 兄貴は本当におかしそうに笑って言った。 「死後の世界や幽霊なんて信じないってヤスがずっと言うから、じゃぁ、どっちか先に死んだほうが、化けて安眠妨害しようや。ってな?ははは。俺の勝ちー!」 俺もお腹から笑って、兄貴に手を振って別れた。 この件は、俺としては、すごく考えさせられた貴重な一件になった。 あんなにはっきりと話せると知ったのは初めてだったし、何よりも、ヤスくんが言ってた、 「また逢えたら、また友達になってね。」 これが本当なら、 報われる魂がもっとたくさんあるかもしれない。 今でも、ずっと、 この自慢の兄貴たちの再会を心から祈っている。
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