15人が本棚に入れています
本棚に追加
すると女は、クジラの鳴き声のような悲鳴をあげて、消えた。
それから
息も絶え絶えに岸までたどり着くと、ナオトとセイゾーが肩を貸してくれて車まで戻った。
彼女たちにトラウマを残すのも嫌なので、ナオトとセイゾーにだけ事情を説明すると、お前のことだからそんなことだと思ったと笑われた。
でも、
足首にはしっかりと5本の指のあとがくっきり付いていて、二人ともマジに退いてた。笑
その後、少し休んでから帰り支度をして、帰路についた。
しばらくは、長い山道を走りながら、昼間のことをボーッと思い返していた。
その辺は高原で、日本海側からは長い登り道、瀬戸内側は延々と下り坂の峠になっていた。
結局あのひとはなんで笑ってたんだろ?
ひとを引きずり込むのが楽しいんかなぁ。
なんて、長い下り坂を降りていた時。
突然総毛立った。
「はぁ?! なんで?!」
思わず声が出たので、後ろの席のセイゾーが突っ込んできた。
「何が??」
俺は全身にビリビリ感じる異変に身構えながらも、セイゾーに
「うーん。なんか居るわ。すまん。」
と謝ると、すぐにセイゾーもナオトも理解してくれて、黙って彼女たちをしっかりと抱いててくれた。
しばらく身構えながらも、坂道を下っていると、
足の違和感に気づいた。
ペダルから足が離れない。
最初のコメントを投稿しよう!