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続第三話 遠い約束
「最近のー。寝れんのんよ。」
「ほぅ。なんで?」
高校卒業して、東大阪市の小さな貿易パーツ工場に就職した兄貴が、初めての夏期帰省で、久々に再会した第一声がそれだった。
見ると確かにやつれている。
ってか、痩せていた。
元々兄貴はかなり小柄で、俺の半分くらい。笑
身長は150センチ。体重は45キロくらい。ガリガリではなかったが、卒業時はおそらくそれくらいをキープしていたはず。
それがたぶん30キロ台後半くらいになっていた。
「なんか身体悪いん?」
「いーや。ビールも美味いで?」
兄貴は心底しんどそうな顔をしながらも、ビアカップを勢いよくあおった。
今夜は二人で向かい合って、久々の再会を祝って、こじんまりと酒宴をしていた。
兄貴とは3歳違い。
兄貴が卒業して、入れ代わりに俺が入学って感じだった。
高校は同じとこ。
考えたら、いつも兄貴の背中ばっかりを追いかけてたな。
兄貴は俺と違い、話術も巧く、交遊関係も広く深く、いつでもみんなの笑いの中心に住んでいた。
人嫌いで、犬としか心を開かなかった俺とは、遥かに人間としてのステージが違った。
いつも俺の憧れで、目標。
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