続第三話 遠い約束

3/5
前へ
/17ページ
次へ
「明日仕事じゃけぇ寝るけど、何も居らん? この部屋大丈夫?」 「…ほぅじゃね。精神と時の部屋くらいの不快さ満点じゃけど、霊的にはまったくクリアなもんやわ。」 「ほうか。ならえぇんや。これで安心して寝れるわ。さんきゅな。」 「おう。」 そして、二人で寝た。 一時間くらい寝た頃だろうか? 不意に全身の毛が逆立った。 鳥肌も。 兄貴を見ると苦しそう。 こりゃヤバい系かも。 と、数珠を握りしめて起き上がると 兄貴の足元に白い塊が見えた。 あぁ。間違いなくこの世のものではないなぁ。 そう確信して、数珠を構えて早九字を切った。瞬間。 か細い声が頭に響いた。 「…ふぇんちゃん?」 確かに俺の名前呼んだ?! そして、 なんか俺がよく知ってる声。 「えっ?誰?」 思わず聞き返してた。 なんか 全身逆立ってるけど、ぜんぜん危機感感じてなかった。 「…ふふ。ヤスオミだよ?ふぇんちゃん久しぶりじゃね?」 「えっ えっ?! やすっ……やすくん?! なんで?!」 「……うーんとねー。ケンちゃんとの約束を果たしに来よったんよ。」 この優しくやわらかな感じ。 間違いなくヤスオミくんだ。 小学3年の頃に小児性筋ジストロフィーという難病を発症し、長い長い長い闘病生活の末、一昨年、兄貴たちが高2の夏に亡くなったヤスオミくん。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加