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「明日仕事じゃけぇ寝るけど、何も居らん? この部屋大丈夫?」
「…ほぅじゃね。精神と時の部屋くらいの不快さ満点じゃけど、霊的にはまったくクリアなもんやわ。」
「ほうか。ならえぇんや。これで安心して寝れるわ。さんきゅな。」
「おう。」
そして、二人で寝た。
一時間くらい寝た頃だろうか?
不意に全身の毛が逆立った。
鳥肌も。
兄貴を見ると苦しそう。
こりゃヤバい系かも。
と、数珠を握りしめて起き上がると
兄貴の足元に白い塊が見えた。
あぁ。間違いなくこの世のものではないなぁ。
そう確信して、数珠を構えて早九字を切った。瞬間。
か細い声が頭に響いた。
「…ふぇんちゃん?」
確かに俺の名前呼んだ?!
そして、
なんか俺がよく知ってる声。
「えっ?誰?」
思わず聞き返してた。
なんか
全身逆立ってるけど、ぜんぜん危機感感じてなかった。
「…ふふ。ヤスオミだよ?ふぇんちゃん久しぶりじゃね?」
「えっ えっ?! やすっ……やすくん?! なんで?!」
「……うーんとねー。ケンちゃんとの約束を果たしに来よったんよ。」
この優しくやわらかな感じ。
間違いなくヤスオミくんだ。
小学3年の頃に小児性筋ジストロフィーという難病を発症し、長い長い長い闘病生活の末、一昨年、兄貴たちが高2の夏に亡くなったヤスオミくん。
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