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どんどん身体の筋肉がなくなっていく恐ろしい不治の病に、いつも笑って真っ正面から立ち向かってた。
幼い頃からの兄貴の大親友で、兄貴たち同級生は、発症してから盆正月関係なく、毎日欠かさずに、やすくんちに行っては励ましてた。
俺もヤスくんにはいつもいつも可愛がってもらって、自慢の兄貴のひとりだ。
「ケンと?約束?」
「…うん。約束したんだ。ケンちゃん気づいてくれてたかなぁ?」
「何を気づくの?……って、俺がおるけぇ、たぶんケンとも直接話せるよ? ちょっとケン起こそうわ。こらケン起きんさい!! ヤスくん来とるで?!」
「……え………はぁ?何を言いよるんなら?…え…や…えっ? 幽霊?!」
後ろに飛びずさる兄貴。
俺は笑いながら兄貴の肩を掴んで
ヤスくんに向ける。
「ヤスオミくんやったんよ。ムズムズの正体。俺が肩持っとってやるけん喋ってみ。なんか約束しとったらしいで?」
おそるおそる白い塊に向かって話す兄貴。
俺が持っとるから、見えるし聞こえるはず。
「……ヤス…か?」
「ふふふ。そがいに恐がらんでえぇやんケンちゃん。」
「…幽霊なんか初めてじゃけ、ほりゃぁ恐いわ?」
「約束守りに来よったんよ?気づいてくれた?」
「……約束?……したっけ?」
「ひどいなぁ。僕はちゃんと覚えとったのにー?」
「す すまんっ? 」
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