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もしサメに咬まれても、すぐには千切られたりしない。骨は容易には咬みちぎれない。
そして、ついてれば、治せる。
すぐに海上に上がり、パニックになって暴れないようにみんなに伝える。
暴れて泡と音を立てると、サメは余計に興奮して襲ってくるから。
島人の常識だ。
ナオトとセイゾーもすぐに理解してくれ、彼女たちを囲んで、平泳ぎで急いで岸を目指した。
俺はまたすぐにサバイバルナイフを手にして潜った。
もしも群れで行動するシュモクザメなら、しばらく囮になって時間稼ぎしないと、あいつらを逃がせられないから。
しかし、潜って辺りを見渡しても、魚たちは普通に居る。
おかしい。普通ならサメにビビって一匹も居なくなるのに。
不思議に思いながらも、もう一度海上に上がった瞬間。
ガボッ
また引きずり込まれた。
今度は離れない。
これはちょっとヤバイかもと、サバイバルナイフを逆手に持ち変えて、咬まれてる右足向かって突き立てようとして、心臓が飛び出るほど驚いた。
女が俺の右足にしがみついていた。
笑いながら。
白いワンピースが風になびくようにひらひらしていた。
息がもたない!!
蹴っても蹴っても離れない。
むしろ痛いくらいに足を掴まれていく。
俺は必死にサバイバルナイフは捨てて、数珠を手首から抜き取り、
陀羅尼経を唱えた。
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