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ただ、兄の実弟である了は、天黄の大恩に報いる為にも、高校を卒業したら迷わず天黄組の盃を受けようと決意していた。
「――分かったよ。その人が困っているようだったら、オレが必ず力になる」
力強く頷き、そう約束すると、兄は安心したように笑った。
「頼むな」
「ああ! しかし、兄貴から頼まれ事をするなんて初めてだな。その人って、どんな人なんだよ? 」
この問いに、兄は切ない表情で微笑みながら、ゆっくりと語り始めた――……。
兄と義姉の乗った車が、トンネル内での多重衝突事故に遭い、帰らぬ人になったのは……それから半年後の事だった。
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