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狂気の華
静が拘留されてすぐにマスメディアも静のことを大きく取り上げ始めた。心ない者は静の出生や幼少期を知る人物を探してあちこちであることない事を聴いてまわり,裏付けもとらないままウェブニュースで拡散させた。
ネット上には小学校の卒業アルバムの写真が当たり前のように貼られ,ユーチューバーが静と佳代の店があったビルの前ではしゃいでみせた。精神疾患が強く疑われることから地上波のワイドショーなどでは静のニュースに触れることはなく,ネットとはまったく違う対応だった。
その間,静は中野区にある警察病院に移動させられた。そこで精神科医にさまざまな質問をされ,くだらないテストを何度も受けさせられた。その結果,精神科医から「性的サディズム障害」と「フェティシズム障害」という怪しげな診断を下された。
拘留されてからは取り調べの合間に精神科医にさまざまな質問を繰り返しされ,意味のないテストを何度も受けさせられた。
子供の遊びのようなテストを受けるたびに医師は嬉しそうにしたが,静にとってはそんなことよりも佳代に会えないこととお店のことが気になり,一日でも早くお店に復帰し佳代と一緒に過ごすことを願った。
病院では他の人間とかかわることも話をすることも許されず,ずっと個室で過ごさなくてはならなかった。
やがて時間の感覚がなくなり,弁護士との話し合いも無意味なものでしかなく,自分がなぜ拘留され警察官に責められているのか理解できなくなっていった。
「ねぇ……佳代を返して……」
満足な化粧ができないストレスと,永久脱毛したはずの顎から生える産毛が今まで感じたことのない異常なストレスとなった。
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