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「僕はずっとさーちゃんの事を待ってるね」
「本当に?じゃあさくらも妖精さんの事忘れなーい」
「ようせいさーん...またねー」
「さーちゃん...またね」
彼と出会ったのは、小学1年生の夏だった。
父方の祖母の家で過ごした夏休み。
毎日が冒険で、楽しくて仕方がなかった。
山に川、公園に神社...
滝のある公園では売店に住み着いた猫に触れてしまい、持病の喘息が悪化して、父にこっぴどく叱られた。
そこで一緒に遊んでいたのが...公園で知り合った男の子だった。
しかし、あの夏の日の記憶はやがて薄れてしまい...
勉強漬けの毎日を過ごし、ランク付けでしか人の評価をしない日常に少し疲れ始めていた。
そんなある日。
何気につけられていたテレビに映し出された幻想的な建物を見て、私は涙を零していた。
両親はそんな私を見て「勉強のし過ぎ」とか「たまには息抜きを」「きっと疲れているのよ」と心配していた。
だからこの夏は、現実から逃げるように、祖母の家で夏休みを過ごす事にした。
...あの夏と同じように。
そして...忘れていた過去の記憶が、少しづつ蘇って行ったんだ。
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