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明日に葬儀をひかえ、その夜は、母の弟妹たちや、近所の母の同級生たちが集まり、ちょっとした同窓会みたいになっていた。
俺と兄貴は、寺を継いだ母の弟の子供たち─いわゆる従兄弟たちと遊んでやったり、風呂に入れてやったりと、けっこうバタバタ忙しかった。
風呂からあがってやっと落ちついて、寝る前に、少し本堂に行ってみることにした。
幼い頃、毎日毎日お題目をあげ、経巻を読み、自分に向き合った、今の俺のはじまりの場所。
本尊の大曼陀羅を見ているだけで、幼心ながらも、行く場所すら分からず汚れて荒んでいた心に、居場所を見つけられた気がしてほっとした。
お前は無力でちっぽけなんだと、はっきりと教えてくれた、やさしい場所。
本尊を囲むように、ところ狭しと置かれた様々なものたちは、じいちゃんを頼って全国各地からこの寺に持ち込まれたいわくつきの品々。
今は、じいちゃんが全国各地に直接赴き、預かって帰ったものも多い。
その中に、それを見つけた。
最初は虫の音かなんかだと思った。
何も気にもしなかった。
でも、本尊の脇の棚のほうから聞こえて来るその音に、不思議に思い、耳を澄ませて近づいてみると、箱があった。
小さな木の箱。
あまり派手ではないが、綺麗な彫刻がされている、手のひらサイズの木箱。
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