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蓋がついていて、鍵のようなものが箱の下側から生えているのが見えた。
──オルゴール?……か。
そう認識してしまうと、虫の音らしきものもオルゴールの音楽なんだと理解して、なんの躊躇もなく、俺はそのオルゴールを手に取った。
刹那
回転する世界。
目の前はぐるぐる回り、言いようもない凄まじい淋しさに襲われ、ガタガタと音がするほどに身体が震えだした。
──寒い?……7月だよ…?
全身総毛立ち、びっしり鳥肌が立つ。
明らかに、この世のものではない何かに触れるいつもの予兆。
とにかく寒い。凄まじい寒さ。
心の底まで冷えきるような絶対零度。
その寒さは、今現在でも体験したことがないほどの、凄まじい寒さだった。
そして何より、それらの感覚を上回るほどの──苦しい? いや。苦しさも通り越すくらいの“痛み”。
どんよりと、暗くねばついて胸にまとわりつく、痛み。
その絶望的な痛みが、無数の泣き声と共に、俺の身体を支配する。
鼓膜が破れそうだった。
言葉になってないが、確かに泣き声。
数えきれないほどたくさんの子供たちの、哀しげな、淋しげな、泣き声だった。
かなしい
かなしい
さびしい
さびしい
くらい
くらい
こわい
こわい
さむい
さむい
いたい
いたい
さむい
さむい
こわい
こわい
くらい
くらい
さびしい
さびしい
かなしい
かなしい
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