続々第一話 音の鳴らないオルゴール

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蓋がついていて、鍵のようなものが箱の下側から生えているのが見えた。 ──オルゴール?……か。 そう認識してしまうと、虫の音らしきものもオルゴールの音楽なんだと理解して、なんの躊躇もなく、俺はそのオルゴールを手に取った。 刹那 回転する世界。 目の前はぐるぐる回り、言いようもない凄まじい淋しさに襲われ、ガタガタと音がするほどに身体が震えだした。 ──寒い?……7月だよ…? 全身総毛立ち、びっしり鳥肌が立つ。 明らかに、この世のものではない何かに触れるいつもの予兆。 とにかく寒い。凄まじい寒さ。 心の底まで冷えきるような絶対零度。 その寒さは、今現在でも体験したことがないほどの、凄まじい寒さだった。 そして何より、それらの感覚を上回るほどの──苦しい? いや。苦しさも通り越すくらいの“痛み”。 どんよりと、暗くねばついて胸にまとわりつく、痛み。 その絶望的な痛みが、無数の泣き声と共に、俺の身体を支配する。 鼓膜が破れそうだった。 言葉になってないが、確かに泣き声。 数えきれないほどたくさんの子供たちの、哀しげな、淋しげな、泣き声だった。 かなしい かなしい さびしい さびしい くらい くらい こわい こわい さむい さむい いたい いたい さむい さむい こわい こわい くらい くらい さびしい さびしい かなしい かなしい     
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