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いつ果てるのか分からない泣き声のループ。
いつしか俺は、オルゴールを両手で抱え込んでうずくまり、泣きながら謝っていた。
ごめんなさい。ごめんなさい。
何もしてあげられなくて、ごめんなさい。
助けてあげられなくて、ごめんなさい。
何度も何度も。
何度も……。
「おにいちゃん。」
「フェンちゃん!」
不意に世界が戻った。
突然
あたたかくて力強い、ふたつの声に掴まれて、この世界に引き戻された。
「……じいちゃん…なんで…?」
顔をあげると、じいちゃんが俺の頭に九字を切っていた。
じいちゃんはにっこりと笑うと
「よかったフェンちゃん。ごめんね。気づくのが遅くなったね。でも、この子たちも悪気があってやってるんじゃないからね。怒らないであげてよ。」
と、俺の抱えていた小さな小箱を取って、そっと本尊の横に供えた。
「…怒らないでって……この子たち…?」
いまだ訳も分からずしゃくりあげながら泣いていた俺に、じいちゃんはゆっくりと昔を思い出すように話しだした。
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