事実は小説よりも怪談なり。丙午

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実家のすぐ横に 公園があって そこを覗き込んで見ると 何やら 犬か? それくらいのが 公園の中を 走り回ってるんですよね 「ったくぅ 夜中だってのに 犬の散歩なんかしてんなよ!」と思いつつ 寝ぼけ眼を擦り擦り 見つめて  それが犬じゃないって気がついた訳でして まず 色が 赤いんですよ 夜中 いくら 外灯が公園に灯っているとしても 赤く見える犬なんているわけないでしょうね それに 犬なら  あの走る度に 鳴る  カツ カツ と言う 足音は いったいなんだ?って なりますよね それで 双眼鏡持ち出して 眺めて見るんだけど 如何せん 暗い夜中 はっきり見えるわけないんですよね かと言って この夜中 公園にまで行ってみようなんてことは まず しないし と その時です あの赤い物が 急に動きを止めて こちらの方を見ているように感じたんですよ ヤバイ って 思いましたね 何が?って言うか 本能的に こいつは見てはいけない物だって ドキドキ 心臓が飛び出すかと思うくらい 鼓動が速くなってきて そーっと 窓を閉めようとすると そいつが いきなり 速度をあげて こっちに向かって カツカツカツカツカツンって やって来るんですよ ヤバイ 窓を閉めるに閉められなくて そいつを 凝視しちゃっては その犬くらいの物 その大きさの 馬だったんですよ 真っ赤な馬  ええ 目を見開いては 見つめたけど 大型犬くらいの真っ赤な馬 カツンって言うのは 蹄 いや もしかしたら 蹄鉄だったのかもと 後で思い出したのだが その時は あまりの不思議に 頭がパニック起こしては 思考停止状態 真夜中の公園を 真っ赤な小型の馬が走って来るって いったい何が起きてる? そいつが こっちへ走って来ては 加速し空を飛翔して 目の前まで迫ってきて 急に ターンしたんですよね えっ まだ思考がついて来ないうちに 真っ赤な馬 公園の斜向かいにある 文房具屋さんと書道教室を営んでいる家の二階へ 飛び込んでは 消えてしまいました その夜は 何が起きたのか よくわからないながらも まあ 夢でも見たんだろうかなんて 思ってたのですが 僕が 何故 この話をいまだに忘れていないかと言うと わけがきっちりあるんですよ
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