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通話が切れた。まちがいなく新卒のせいだ。
「禁句をさらっと言うんじゃねえよ」
黒わかめみたいな自分の頭をかいて、さっき落雷した場所へ行った。人だかりができていたが、コンクリのおかげで感電したやつはいなさそうだ。
「おい」
振り返ると、電信柱に寄りかかっているライライがいた。そばには身を縮こまらせている新卒もいる。
「なんでこんなやつにパシらせた?」
「偶然だ。フウフウ探してたんだ」
「やつは?」
「あとで来る」
「ふん。今日の夜はキサマのオゴリだ」
「へいへい」
肩をすくめてさっさと上に戻る。後ろからライライと首根っこつかまれたニジニジが、少し遠くからフウフウが合流する。
「さてと、程度はレベル4の暴風雨だ。勝ったら今日だけ、負けたら明日もだ」
「アメアメ、ジャンケン弱すぎだよー」
「じゃ、明日の分はフウフウがやれ」
「こいつに任せるくらいならおれが行く」
腕を組んだライライがビリビリとオーラを放つ。
「ほら始めるぞ。せーの」
おれが雨雲を率いて、フウフウが暴風を起こし、ライライが一瞬で木を炭に変える。
十分もしないうちに下界は混乱した。天気予報なんて当たるわけがない。おれたちの気まぐれだからな。
次の日。
「すまん、負けた」
ライライがめずらしくしおれて帰ってきた。
「じゃあ今日も仕事だ」
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