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「さてと。」
見ていたテレビを消して先生が言うから、
あっ、そっか。もう帰らなきゃいけないんだ。
急に寂しさが込み上げる。
きっと、もう先生に会うことはないよね。だって先生は私のカテキョであって受験が終わった今ではもう私の先生じゃないし私も生徒じゃない。
だからと言って、お子様な私の事を先生はきっと恋愛対象として見ていないだろうし。
行き場のなくなった片思いを持て余すもどうすることも出来なくて…
せめて最後だけは先生を困らせたくないなって先生と過ごした楽しい時間を胸に抱えソファから立ち上がろうとしたら、
「あのさ、」
って先生が呼び止めて私の腕を掴んだ。
「えっ…」
急展開に頭がついて来なくて。その場で突っ立ってたら
「俺もご褒美もらっていーの?この一年、ずーっと我慢してたんだけど。」
そう言いながら私をぐっと引き寄せるから先生の胸に思い切り飛び込む形になっちゃってそのまま先生の膝の上に乗っかってしまった……
何、この態勢、めちゃ恥ずかしいんだけど。
それに先生の顔がすっごく近くて、勉強を教わってた時みたいに横顔じゃなくて真正面だし。
しかも何だか、先生なのに先生じゃないみたいな顔してて直視出来なくて思わず顔を反らしたらクイッとまた戻された。
それで、
それで……
それでぇ………
キス、されたんだ。
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