6階の君、4階の彼女

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◆◇◆◇◆  今日も慌ただしい一日を終え、急いで帰宅する。 今週は今日を逃すと後は残業やら飲み会やらでこの時間に帰るのは厳しい。 駅からダッシュでなんとか俺が住む1Rマンションまで辿り着く。 そこでひと呼吸して、ハンカチで汗を拭うと同時にエントランス入り口のガラスドアを見ながら乱れた髪を整える。 そして涼し気な顔でエレベーターホールに向かう。 今日もいるだろうか? 「4階の彼女」は。 彼女を知ったのは俺がここに越してきて間もない頃だったか。 朝、うっかり寝坊をして慌てて支度してエレベーターに乗り込み一階のボタンを連打する。なのに、そんな時に限って4階で止まるエレベーターに苛つく。 けれど、エレベーターの扉が開いて乗り込む人物がゆっくり見えて俺は咄嗟に得意の営業スマイルを貼り付けた。 ーーー可愛い
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