その視線の先には

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◇◆◇ 今日も私は放課後、3階の教室からラグビー部の練習風景を見る それは変わらないいつもの私の放課後 見て、見て、気づいて けれどそれまでとは少し、いや、かなり違う だって彼はちゃんと気づいてくれる 私と目が会うと人差し指で鼻の下を擦る彼 私達だけの合図 ーーー練習もうすぐ終わる。そのまま教室で待ってて。 私は大きく両手を上げて丸を作る 彼は照れたように笑うとまた走り出す 誰もいない教室にため息だけが響く だけど、今までと違うのはこのため息はとっても甘いものだということ 私はもうすぐここにやって来る彼を待ちながら また1つ甘いため息を響かせた 【その視線の先には】 終
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