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「あの…」
「ん?なに?」
田澤春樹の声にハッとして現実に連れ戻される。
「ごめん、ぼんやりしてた。何か言った?」
「その…予定どうかなと、思って。」
「え?予定?だから今いったじゃな…」
「じゃなくて、クリスマスの予定を聞いてるんですっ。」
ぶっきらぼうに言い前を向いたまま運転する田澤春樹の耳が赤かった。
「あっ、クリスマス…ね。」
予想外の言葉に驚く。
「何、今更、驚いてるんですか?水川さん、僕の気持ち知ってますよね?」
確かに、
知ってる。
1ヶ月ほど前に田澤春樹は私に告白してきた。
ーーーあなたが好きです。
ストレートに思いをぶつけてくる田澤春樹に正直、動揺した。
入社してから私はずっと彼と組んで仕事をしている。
何事にも真っ直ぐな彼。
控えめながらも、自分の考えをちゃんと人に伝える彼。
そんな、彼に私は好感を抱いていた。
そう、これは好感だ。
決して恋愛とか言う類いではないと思ったし、今も思っている。
何よりも、彼は年下だ。しかも5つも。
なのに、私は動揺していた。
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