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私は以前父親から上の兄が南方に行って帰らなかったことを聞いていましたので、その事を伝えると。
「じゃあお前今度の海上慰霊祭でお酒投入係な」と言われた。
ハワイに入港する前、ミッドウェー沖で慰霊祭が行われるのです。
大きな異変はこの日の夜から始まりました、それは夜の十二時過ぎのこと当直海曹として艦橋に立っていた堤二曹が、微かな月明かりに照らされている前甲板に二つの白い影を見つけたのです。堤海曹は以前酔った乗員が下着姿で涼みに甲板に出て、海に落ちそうになった所を助けた事があったので。
「またバカが酒飲んでー」と、急いで甲板に出て探したのですが誰もいなかったそうです。
次は信号長の話です。これも巡検が終わり暗くなった旗甲板を一人で点検していた時の事。
何人かの白い影がマストを抱きかかえる様に捕まっていることに気付いた信号長は、特殊なライトでマストを照らしたら、その白い影は全て消えていたそうです。
そしてこうも話してくれました。
「昔の作業服は……白だったんだ、きっと連れて帰ってほしいのだろう」と。
そしてまだまだ続きます。
調子が悪い艦内スピーカーから雑音と共に微かな声が聞こえる、と言うのです。
たぶん、夜中でもガリガリ言い出すスピーカーにノイローゼぎみになったのでしょう。
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