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好きな子がいた。多分僕の人生の中で一番好きになった子が。別にとても可愛い子ではなかった。特別目立っているわけでもなかった。友達も沢山いるわけでもなく、けれど多くから嫌われているわけでもない。言ってしまえば世渡り上手というやつなのかもしれないけど、そこに策略的なものは感じなくて素でそういうことができてしまうのだと、傍目で凄いなぁなんてどうでも良さげに見ていた。丁度いい、そう丁度いいんだ。過度に賑やかな人も、誰とも壁を作っているような人も苦手な自分としては、彼女の他者との距離の取り方が丁度よく思えた。彼女と何度か話したことがあったけど、そこに息苦しさや温度差などは感じなくて、変に気を遣わずにいられて楽だった。
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