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どうにも学校から帰る方向が同じようで、それ以来時々帰り道で一緒になった。むしろ今までどうして一緒にならなかったんだろうと考えたけど、帰宅中で周りの人に関心など向けたことなんてなかったから仕方ない。早く帰って何もしない空虚な時間を十分に謳歌したいのだ、必要以上に帰るという行動に時間を割きたくはない。けれど彼女と帰る時間は珍しく有意義なものだと感じた。会話が弾むとは限らない、むしろ二人して沈黙を味わっている時間の方が長い。ただし嫌悪感を伴わない沈黙だ。具体的に覚えていない。なにかを話したことに違いはないだろうけど、そのなにかの説明を求められても答えられない。結局彼女と話すことが大事で彼女となにを話すかは然程重要ではなかったのだ。それは喜ばしいことだと思う。
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