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「気になる・・・どうしても気になる・・・どうしても・・・」
鬱蒼と木々が生い茂る山奥で、ヤマドリのトリノは今まで見掛けないような鳥を茂みの中でじーーーーっと凝視していた。
「青だか緑だか、木漏れ日にキラキラ輝く身体。
頭のポンポンポンと生えている、飾り羽根。
長めの首。
白い縁取りの精悍な目。
頑強そうで鋭く太い嘴。
そして、七色に輝く派手な翼・・・
君はいったい何者なんだ?!」
ヤマドリのトリノは、派手な鳥が動き出すと茂みの中音を立てないように、長ーーーい尾羽をふりふりのっそりのっそりと付いていった。
がさがさがさがさがさがさがさがさ・・・
「ん?」
派手な鳥は物音に気付いて、振り向いた。
・・・やば・・・?
ヤマドリのトリノは、一瞬バレたと思い冷や汗をかいた。
「へんね?」
派手な鳥はまた前を向くと、再びてくてくと茂みの中を歩き始めた。
「ふう・・・あぶねえあぶねえ。」
ヤマドリのトリノもまた、派手な鳥に気付かれないように慎重に、茂みの中を歩いた。
てくてくてくてくてくてくてくてくてく・・・
ざっざっざっざっざっざっざっざっざっざっ・・・
ずるっ。
「あ。」
ドテッ!!
ヤマドリのトリノは、茂みの窪みに脚を取られて転倒した。
「ひっ?!」
ばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさ・・・
「やば!!あいつ驚いて飛んで逃げちゃった?!」
ヤマドリのトリノは、とっさに短い翼を拡げて逃げ去っていく派手な鳥を必死に追いかけていった。
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