僕はどうにかして君といないといけない

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 グダグダと探るのが面倒だったのと、彼女の性格だと向こうから口をきかない気がしたので、こちらから直球で訊く。 「……うん。そ、そうなの。も、もしかしたら、今日もこれから降るかも」 「日和(ひより)って名前なのに、皮肉だね」 「う、ん。楽しみにすればするほど、雨になっちゃう」  楽しみ?  思わず振り返って雨宮の顔を見た。急に視線を向けられた雨宮はうろたえて、また赤くなっている。  それはあえて見なかったことにして、僕はふたたび前を向いた。 「ああ、遠足の日とか、運動会とか?」 「が、学校行事はたいてい。あと、誕生日も。でも、そのうち私が嫌になって、楽しみじゃなくなったら……降らなくなった」  雨宮が転校してきた理由が今わかった。  彼女と親しくなると大事なイベントであればあるほど雨がつきまとう。  僕も面倒なことを背負っているけれど彼女も別の意味で大変な人生だったに違いない。 「そうか。それじゃあ、嫌われるかもね」 「…………」  自分を責め続けるのは辛い。  びくびくオドオドした態度になってしまうのも仕方ないかもしれない。  でも僕は強い武器を見つけた。 「けど僕は気にならない。雨の日が好きなんだ」  大金が手に入るから。  今までは都合よく稼ぐのはなかなか難しかったけど、君がいれば梅雨以外でも仕事を引き受けることができるかもしれない。
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