僕はどうにかして君といないといけない

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「ああ、平気だよ。今日は傘持ってきたし」 「そうだった。昨日、また急に降ったんだよな。家の中入った直後くらい。ギリギリセーフだった」 「それより今日も一緒に帰ろう。家の方向、一緒みたいだから。今日こそ田喜野井スポーツ店教えるし」  昨日走って帰っていく雨宮は一の(でん)方面へ向かっていた。あの辺りは祖母の友人くらいしか住んでいない。ようするに子供というか、若者は雨宮だけだと思う。  僕にはどうしても確認してみたいことがあった。  昨日、彼女が転校してきてからのことを思い返すと妙な感じがした。偶然と片づけるにはあまりにタイミングが良すぎるのも。  何より彼女自身、謝っていたじゃないか。  カンカン照りの中、長い傘を持って歩く僕の姿はたしかに変だった。  あいかわらずオドオドしていたが、僕の誘いを断る勇気も無い雨宮は僕の少し後ろを付いてくる。 「じゃあね、桃井くん、雨宮さん」  珠子が張り付いたような笑顔で反対方向に自転車を走らせていった。雨宮は珠子の嘘笑顔にまた感激している。  学校を出れば近くの文具店兼書店以外田んぼと民家だけの道を歩く。自転車組はとっくに数百メートル先を行っていた。 「雨宮さんって、もしかして雨女?」     
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