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君は雨を連れてくる
六月も中旬。
一週間前には「梅雨前線が北上してくるでしょう」と天気予報で言っていたはずなのに、六月に入ってから雨がほとんど降らない。雨が降らないと僕は色々困ったことになる。
客が返事を聞きに来るのは、今日。
しかし今朝も快晴だった。朝のニュースでも気象予報士が苦笑いで「降水確率10%」と言っていた。「まあ、まだ水不足という時期でもないので、長い梅雨の晴れ間を快適にお過ごし下さい」とキャスターがわけのわからないフォローをしていたが、僕には関係ない。今日、降ってくれないと困るのだ。
そんな悩みとは無関係に、学校には行かねばならない。僕は中学二年生だ。
長い石段を降り、畦道をひたすら歩いて一時間後、仙桃山中学に着く。なんとなくわかったと思うが、過疎地なのでバスも通っていない。反対方向に一時間歩けば、唯一の交通手段JRの駅がある。
ちなみにこの「仙桃山」というのは地名で、山の名でもある。その山の頂上に僕の家でもある仙桃神社本殿がある。
「はよ、学」
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